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雇用労働部会 (部会長: 富山大学教授 坂幸夫) 2014年2月18日


代表的な低賃金業種の状況
 

 この日の雇用労働部会は、国税庁の業種別の平均年収の調査でも、約235万円(最も高い電気・ガス等の3分の1以下)と、代表的な低賃金業種となっている宿泊・飲食サービス業の状況について、又市秀治常務理事より報告がありました。

 この業種の特徴としては、嘱託・契約・パート・アルバイトなど非正規職員の比率が高く、また若年層・女性の比率が高いことが挙げられます。
 また、正社員であっても、深夜や早朝の不規則な勤務や、長時間労働、昇給の抑制、恒常的なサービス残業、いわゆる「名ばかり店長」などによる離職率の高さについても指摘がありました。
 さらに、勤務がそれぞれバラバラなため労働組合の組織率も低く、賃金・労働条件の切り下げにも抵抗できない実態にあることも、低賃金の一因となっていることが報告されました。

(報告: 又市秀治) 



雇用労働部会 (部会長: 富山大学教授 坂幸夫) 2013年10月7日


 雇用労働部会では前回の議論を踏まえ、あらためて今後の研究テーマについて議論がなされました。
 拡大の一途をたどる非正規雇用ですが、業種によっても差異があることから、非正規雇用の多い職種として宿泊・飲食サービス業の現状、あるいは急速に非正規化が進み教育現場の状況とその影響について、それぞれ調査を行い、次回以後、順に報告していくこととしました。

(報告: 又市秀治)


雇用労働部会 (部会長: 富山大学教授 坂幸夫) 2013年8月22日


 雇用労働部会では、これまで富山県内の中小企業等で働く外国人技能実習生の現状と課題等について調査研究を行ってきましたが、このテーマについての調査研究はこれまでの季刊誌で発表してきたレポートをもって終了することととし、8月22日の部会は今後の研究テーマと進め方について協議しました。

 労働相談を行っている部会員から、増加の一途をたどる非正規労働者が、ますます劣悪な労働条件に置かれていることが報告され、また教育現場でも非常勤講師が他の先生と全く同じことをし、同じ責任を負いながら、非常勤だというだけで大きな賃金格差がある実態が報告されました。また、親の失業や不安定雇用のため、生徒たちが将来の夢も描けず、高校進学を断念せざるを得ないケースが近年急増している実態も報告されました。

 しかし、非正規雇用というテーマではあまりに広範になること、また地方自治研究として結論に至らない可能性があることなどから、もう少しテーマを絞ることとなり、次回の部会で再協議することとしました。

(報告: 又市秀治)

雇用労働部会 (部会長: 富山大学教授 坂幸夫) 2013年5月17日


外国人労働者問題のまとめ
 

 5月17日に開催した雇用労働部会では、これまで約1年半にわたり研究テーマとしてきた、外国人労働者の課題について、最終的なまとめを行いました。
 外国人は以前、実質上労働者であったにもかかわらず、研修生という立場で、労働法や最低賃金法は適用されず、社会保険にも加入できず、過酷な労働環境に置かれていました。
 その後、2010年の制度改正により、3年間の技能実習生として労働法が適用されるようになり、労働法の適用も受け、最低賃金も保証され、社会保険にも加入できるようになりました。その多くが中国人でした。
 しかし、翌年の東日本大震災以後、日本から離脱する実習生が増えました。災害や原発事故に対する恐怖とともに、中国の国内での賃金上昇傾向により、日本への再入国を希望しなくなっていきました。受け入れ機関は、人件費の低い労働力を、ベトナム・タイ・インドネシア・フィリピンなど東南アジア諸国に求める傾向にあります。
 そうした状況下での課題、また今後の対策について、報告・協議しました。
 
詳しくは、7月発行の「自治研とやま」85に掲載する予定です。

(報告: 坂 幸夫)

雇用労働部会 (部会長: 富山大学教授 坂幸夫) 2013年2月22日


外国人の「元子ども」たちの声から
 

 2月22日に開催した雇用労働部会では、前回(201210月)に引き続き、アレッセ高岡代表の青木由香さんから、「外国人の子どもの教育 〜“元子どもたちの声から〜」と題した報告を受けました。
 青木さんは、この間、外国人労働者の子弟の支援をされており、外国から来ている、元子供たちから聞き取り調査をされた内容で深刻なものでした。
 詳しい内容については、4月発行の「自治研とやま」84に掲載予定です。

(報告: 坂 幸夫)

雇用労働部会 (部会長: 富山大学教授 坂幸夫) 2012年10月2日

活動報告写真
外国人労働者の子女たち
 

 10月2日の雇用労働部会では、県内在住の外国人の子女の教育の支援を行っている「アレッセ高岡」代表の青木由香さん(写真)をお招きし、その活動内容や課題について考えました。
 両親も日本語を話せず、日本での教育を知らず、日々の労働に追われる中、子どもたちは家事労働の大部分を担いながら、学校で言葉の壁や差別に悩んでいるという実態や、学校も親も周囲も「いつかは国に帰る。そうしたら何とかなる。」という意識があり、真剣に向き合おうとしないという状況があります。しかし実際には、国に行ってもその国の教育を全く受けていないため、何ともならないのが現実で、結局は多くの子どもたちが高校進学どころか、不登校となり、非行などに走るケースもあるとのことでした。
 子どもたちを、将来の社会を担っていく一員、さらには国と国との架け橋的な役割を果たす人間として、社会全体で支援していく必要があると報告がありました。

(報告: 又市秀治) 

雇用労働部会 (部会長: 富山大学教授 坂幸夫) 2012年8月24日


技能実習生に関わる意識調査
 

 8月24日に開催した雇用労働部会では、坂部会長が訪中して行った技能実習生の派遣元(送り出し機関)や、日本の受け入れ機関の意識調査の結果などについて報告がありました。
 東日本大震災直後、多くの技能実習生が帰国しましたが、いま中国では徐々に賃金相場が上昇し、無理に日本での就労を希望しない傾向があることや、その影響を受け、受け入れ側も中国以外のアジア諸国からの受け入れを検討している実態が分かってきています。
 多くの日本人労働者が職を失い、職を求めている一方、こうした労働力ビジネスが過熱していくという実態についても議論が行われました。

(報告: 又市秀治) 

雇用労働部会 (部会長: 富山大学教授 坂幸夫) 2012年4月5日


活動報告写真技能実習生の日本滞在と離脱
 

 この日の雇用労働部会は、坂部会長が実際に技能実習生を対象として行なった面接調査の結果を元に、研究を行ないました。
 とりわけ昨年の東日本大震災を受けて中国に帰国した技能実習生の実態についてのヒアリングの結果が報告されました。

 次回は、外国人労働者の子女の教育の問題について調査を行なうことにしています。

(報告: 又市秀治) 

雇用労働部会 (部会長: 富山大学教授 坂幸夫) 2012年1月19日


外国人労働者の実態について
 

 雇用労働部会は現在、県内の中小企業で働く外国人労働者の実態について調査を行っています。
 前回・前々回と、日系ブラジル人や中国からの技能実習生の実態を報告いただきましたが、1月19日は今後の部会の進め方についてフリー討論を行いました。

 活発な議論の後、多くの日系ブラジル人から相談を受けているジュリアさんから、言葉がよく分からないことを悪用された極めて不利な契約の締結や、職場での差別、一方的な雇い止めや賃金カットなど、無権利状態に置かれている実態に目を向け、改善策を考えてほしいという思いが語られました。
 その後、企業側が不当労働行為や違法行為に及んでも、労働者が泣き寝入りすることが多いのは日本人労働者も同じであり、決して他人事ではないという声もありました。

 次回は、今後の調査研究活動の方向性について、より議論を深めることにしています。

(報告: 又市秀治) 


雇用労働部会 (部会長: 富山大学教授 坂幸夫) 2011年11月8日

活動報告写真

外国人技能実習生の実態について

 雇用労働部会は現在、外国人労働者の実態について調査を行っています。
 11月8日は、中国からの技能実習生の実態について、富瀋国際事業協同組合専務理事の林広森さん(写真中央)にお話をうかがいました。

 1991年に始まった旧研修制度では、日本の労働法が及ばず、劣悪な賃金・労働条件での就業や、違法・不適正な就業など、多くの問題がありましたが、それを解消するため2010年から技能実習制度が導入されました。

研修・講習の徹底

 林さんの協同組合は現在、建設業や機械加工・電子・縫製など113の日本企業が会員となり、349名の技能実習生を日本に受け入れています。
 技能実習という制度上、誰でも受け入れるわけではなく、現地で同じ職種で就業している人々に限定していますが、渡航希望者には必ず実技試験を含め選抜(倍率は約3倍)を行います。
 試験合格者は、中国の全寮制の研修施設で4ヶ月間の研修を受けており、その内容は、日本語や業種ごとの専門用語の研修のほか、日本の考え方や生活習慣、ゴミの分別の仕方など多岐に及びます。
 こうして来日した実習生は、今度は立山町にある全寮制の研修施設で、さらに研修を受けます。そこには警察署や消防署からも講習に来てもらい、さらには富山駅で切符の買い方や公共交通機関の利用の仕方などの研修を行います。このように徹底した研修を受けることで、日本でのトラブルを予防しようとしているわけです。

実習生の労働条件

 
制度上、実習生が日本に滞在できるのは3年間だけで、その後の再入国はできません。
 3年間とはいっても、企業との契約は1年毎となっており、もし何か問題があれば1〜2年で帰国し、もう日本に来ることはできなくなります。そうしたこともあり、実習生は総じて勤勉だそうです。
 実習生は、ほぼ日本の最低賃金(富山県では時給692円)で働きます。残業ゼロだとして月額11万円程度。各種社会保険料(本人負担分)・寮費(水道光熱費込み)等が差し引かれ、手取りは約8万円。
 それでも実習生の生活費は月1万3千〜2万円程度であり、3年間で2百万円以上は貯金できるそうで、これだけあれば帰国後、郊外で家が買える程度だそうです。
 また、帰国後は元々いた中国の会社に戻ることになっていますが、その会社を辞めて独立したり、中国に進出している日本企業に就職する人々も多いそうで、そのときは日本での実習経験が役立つということでした。

サポート体制

 林さんたちは、実習生の生活をサポートするため、会員企業を巡回して相談業務を行うほか、24時間体制で通訳を配置し、業務上はもちろん、交通事故など業務外のトラブルにも対応できるようにしています。
 また、新年会やバーベキュー、ボウリング大会などのレクリエーションを開いて実習生どうしの交流を支援し、誕生日には必ず実習生にプレゼントを贈るなど様々なサポートを行っているそうです。
 このような受入れ団体は県内で53あり、富山県外国人実習生受け入れ団体協議会に加盟しているそうです。

お話を聞き終えて

 この雇用労働部会では前回、日系ブラジル人の方にお話を聞きました。そちらの場合は、言葉の壁や生活習慣の違いなどから、専門の派遣会社に頼るしかなく、社会保険もなく、ほとんど無権利状態に置かれ、仕事上も様々なトラブルが相次ぎ、不当な解雇などがあっても、相談に行く先もなく困っている人々が多いという実態が紹介されました。
 林さんたちが行っているような、トラブル防止のための綿密な事前研修や、滞在中のサポート体制、将来への展望があれば、そうした実態は減っていくことでしょう。

 1990年代初頭、まだバブル経済の名残りのあった時代、労働力不足を理由に外国人労働者を受け入れてきた日本ですが、その後の不況の中で外国人労働者は、ときには日本人労働者の賃金・労働条件を引き下げるために使われ、ときには悪質な中間業者などの食い物にされることもありました。
 受け入れた責任上、日本側がどのように彼らをサポートするかが課題であり、それは林さんたちのような団体があれば良いですが、そうではない人々も多い中で、企業とのトラブルを防ぐために国が何をするのか、住民とのトラブルを防ぐために自治体が何をするのか、あるいはNPOや市民団体が何をするのか、それぞれの役割分担も含めて解決しなければならない課題は少なくありません。
 ただ、来た人の自助努力・自己責任だけでは何も解決しません。
 外国人労働者、日本人労働者、そして近隣の住民、それぞれが安心して働き、暮らすために何が必要なのか、真剣な検討が求められています。

(報告: 又市秀治) 


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